1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 18:38:55.54ID:U2D5HVeP0
――――LHRにて


奥都「では、体育祭の出場種目のメンバーを決めていきまーす」

ウィーン「はい!」

奥都「なに、前田くん?」

ウィーン「体育祭って、一体何をするんですか?」

奥都「……紗羽、来夏。よろしくね」

紗羽「えー、こっちに振らないでよ」

来夏「そういう説明は、委員長の晃子がやってよねー」

奥都「あんたらの仲間でしょー?」

来夏「はいはい。じゃ、田中ー、よろしくー」

田中「……ぐー……」

来夏「って、寝てるし!」

紗羽「いいよ。説明しておくから、進めておいて」

奥都「はいはーい。よろしくー」







3:念のため。奥都さんは、第一話に出てきたモブです。:2012/11/13(火) 18:40:59.33ID:U2D5HVeP0
ウィーン「ごめんね、二人とも」

紗羽「あっちじゃ、体育祭ってなかったの?」

ウィーン「そうだね。授業も昼過ぎには終わってたし、その後は自由だったから……」

紗羽「何それ!? 羨ましー!」

来夏「こら田中、起きろ!」 ペシッ

田中「ふぐっ!? ってえな! 何すんだよ!?」

来夏「寝てる方が悪い」

田中「は?」

ウィーン「羨ましいなんて……。学校が終わったら、することもなくて暇だったんだよ」

来夏「今、体育祭の種目メンバー決めてるんだから。あんたも参加してよ」

田中「そんなの適当で良いんじゃね? 部活ごとで固めればすぐ決まんだろ」

来夏「そういう風に協調性がないから、部が独りぼっちになっちゃったんだねぇ……」

田中「なっ!?」




4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 18:43:23.23ID:U2D5HVeP0
ウィーン「偶に友達と、お酒飲んだりはしてたけどね」

紗羽「え!? ウィーン、未成年じゃん!」

ウィーン「オーストリアでは16歳から飲んでいいんだよ。僕は弱いから、あんまり飲めなかったけど」

来夏「部活での連携プレーとか出来なかったあんたが、唯一みんなと手を取って出来る行事なんだよ!?
    なんで、それを適当でー、の一言で済ませられるの!? あんたには情熱ってもんがないの!?」

田中「う……」

来夏「得意な科目、やりたくない科目。それらをみんなで上手に分け合って、優勝を狙う! それが体育祭でしょ!?
    三年生のあたし達は、もう次だってないんだよ!? 一生懸命やらない方が損じゃん!」

田中「は、はい」

来夏「よし! わかったならそれで……」 トントン

来夏「ん?」 クルッ

奥都「ねー来夏、1500m走があと一人足りないんだけど、誰かやってくれる人いないかな?」

来夏「あ、それなら田中がやるから」

田中「おい!?」




5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 18:45:32.55ID:U2D5HVeP0
来夏「あたしマラソン嫌いだし。あんた好きでしょ? ランニング」

田中「そういう問題じゃ……」

奥都「……えーっと?」

田中「……はぁ。良いよ、俺で」

奥都「ありがと、田中」

田中「お前な、言ってること適当すぎんだろ」

来夏「得意な種目にぶつけたんだもん。ありがたく思いなさい」

田中「別に得意じゃねーし」

紗羽「わたしも町内会の付き合いで飲まされたことあるけど、まだ全然わかんかったなー」

ウィーン「そうだね。やっぱり、お酒は大人にならないとわからないね」

紗羽「やっぱ、ビールが多いの?」

ウィーン「どちらかと言えばワインの方が多かったかな。コーヒーより安く売ってることもあったし」

紗羽「あー。日本のカップ酒みたいな感じなんだね」




6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 18:47:58.02ID:U2D5HVeP0
来夏「和奏ー! 和奏はどーするー?」

和奏「ん? 私?」

来夏「うん。そんなトコいないで、こっちおいでよ」

和奏「あ、うん」 ガタッ

来夏「紗羽ー、ウィーンへの説明終わったー?」

紗羽「あ、忘れてた」

紗羽「えっと体育祭ってのは、クラスで一つチームになって、走ったり、幅跳びやったり、色々な種目で勝負することだよ」

ウィーン「クラスで? ということは、もしかして学校全体でやるものなの!?」

紗羽「そ。学校全体でやる、大きなお祭りだよ」

ウィーン「凄いね! 是非とも、やりたいな! どうしたらいいの!?」

紗羽「言わなくても、強制参加だから大じょーぶ」

来夏「紗羽ー?」

紗羽「今終わったよー」




7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 18:51:20.66ID:U2D5HVeP0
来夏「よし、じゃあ誰が何に出るか決めますか」

田中「もう俺決まってんだけど……」

和奏「私、あんまり足速くないから、関係ない競技にして欲しいかな」

来夏「んー。じゃ、パン食い競走にする?」

和奏「そんな競技ないでしょ」

ウィーン「パン食い競走?」

来夏「田中、説明しておいて」

田中「俺かよ」

紗羽「確かに、来夏じゃ出れないしね。届かなくて」

来夏「ナンダト?」

浜田「田中、ちょっといいかー?」

田中「ん? なんだー?」

和奏「紗羽は、何に出るの?」

紗羽「別に何でも良いんだけどねー」




8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 18:54:29.37ID:U2D5HVeP0
来夏「紗羽、足速いし100m走に出たら?」

紗羽「んー。どうだろ。他のクラスは陸上部当ててきそうだし」

来夏「確かに。3組は短距離専門が何人か居たよね」

紗羽「でも、それで捨てるには惜しいような……」

田中「沖田」

紗羽「なに?」

田中「お前、200mに出たらどうだ?」

紗羽「何で?」

田中「足速いし。良いんじゃねーかって思って」

来夏「良いんじゃない。紗羽ならいけるって!」

紗羽「んー。じゃ、そうしよっかな」

来夏「晃子ー! 紗羽、200mに出るってー」

奥都「はーい!」




9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 18:57:49.54ID:U2D5HVeP0
ウィーン「大智、何の話だったの?」

田中「ハマチが、沖田を200mに出せって」

ウィーン「どうして?」

田中「わかんね。なんか、100mよりも揺れ? が何とか言ってたけど」

ウィーン「?」

紗羽「あと決まってないのって、何だっけ?」

来夏「えーっと……リレーと、二人三脚と、騎馬戦か」

来夏「騎馬戦なら、やっぱ紗羽が出たらいいんじゃない? いつも馬乗ってるし!」

和奏「結構安直に考えてない、来夏?」

来夏「いやいや。だって紗羽身長高いでしょ、それにバランス感覚も良いし。騎手向きじゃない?」

田中「でも、背が高いとそんだけ重心も高いわけだろ。馬役のヤツが大変にならないか?」

来夏「……紗羽」

紗羽「わかってる」 ベシッ!

田中「いでっ!?」




10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:01:22.11ID:U2D5HVeP0
和奏「流石に無神経だよ、田中」

田中(何でだよ……)

ウィーン「だとしたら、来夏がやる方が良いんじゃ?」

来夏「えー? あたし、痛いのはヤダ」

紗羽「わたしなら良いんかい!」

和奏「じゃあ来夏、私と二人三脚出ない?」

来夏「うん、いいよ!」

田中「大変だぞ、相手と身長差あると」

来夏「田中、いちいちうっさいよ!」

田中「なんだよ、事実を言ってるだけだろ?」

来夏「それが無神経なの! ばーか!」

田中(なんで俺ばっかり……)




12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:04:20.87ID:U2D5HVeP0
和奏「ウィーンは、何に出たい?」

ウィーン「何が良いのかよくわからないけど……リレーなら出てみたいな」

紗羽「走るの好きなの?」

ウィーン「うん。あんまり速くはないけど、面白そうだし、やってみたいなって」

来夏「良いんだよ、ウィーン。こういうのは出ることに意義があるんだから!」

ウィーン「わかった。ありがとう、来夏」

田中「そんじゃ、俺もリレーに出ようかな。あと一人、余ってるっぽいし」

来夏「何、その仕方ないからやってやらんこともない的な、惰性一直線の決め方! ウィーンを見習いなさい!」

田中「出ることに意義があんだろ。なら文句言うな」

来夏「おっ、田中の癖に言い返すねー。そんなあんたは、騎馬戦にも出ちゃいなさい」

田中「は?」

来夏「騎手は紗羽でね」

紗羽「えー?」




13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:07:20.85ID:U2D5HVeP0
来夏「よし! 決まり! 晃子ー! 埋まってる所、消化してくよー!」

奥都「はーい。誰がどこか言ってってー!」

来夏「えっとね――――」





 ――――とある体育の授業

和奏「ちょっ、待って来夏!」 ザザー

来夏「うわととと、な、何、和奏!?」

和奏「全然、歩調が合ってないよ。今のまま行ったら絶対転んでた」

来夏「ごめんごめん。うーん、難しいねー、二人三脚って」

和奏「掛け声、ちゃんと合わせてるんだけどね」

来夏「数えてるうちに、なんかゲシュタルト崩壊しちゃうんだよねー」

和奏「どっちの足を動かしてるか、わかんなくなっちゃうもん」

来夏「足元ばっかり見るから面白くないし」




15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:09:59.39ID:U2D5HVeP0
和奏「うーん……あ」

和奏「数字でやるから、変な風に意識しちゃうんじゃない?」

来夏「と言うと?」

和奏「紗羽ー!」

紗羽「なにー?」

和奏「ちょっと来てくれるー?」

紗羽「わかったー!」

タッタッタッタ……

紗羽「どしたの?」

和奏「私と来夏で今から走るから、手拍子してくれない?」

来夏「手拍子?」

紗羽「良いけど……どれぐらいで?」

和奏「これぐらいで」 パチッ パチッ パチッ パチッ

紗羽「普通にやるぐらいだね」




17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:14:09.46ID:U2D5HVeP0
和奏「うん。じゃ、お願い。来夏はリズムに合わせて、くっついてる足から始めてね」

来夏「わかった」

紗羽「いくよー。せー、の!」

パチッ パチッ パチッ パチッ

来夏「わっ! とっ!?」

和奏「頭で考えないで、リズムに合わせて!」

来夏「う、うん!」

タッ、タッ、タッ、タッ、タッ!

来夏「お、おお!? なんかいい感じ!」 

和奏「でしょ?」 

ザザー!

来夏「今のを名づけるとするなら……パーフェクタン、クロノスシステム! 略してP.A.C.S作戦!」

和奏「その略し方は無茶があるような……」




18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:18:05.05ID:U2D5HVeP0
来夏「完璧なる時間方式……我ながら良い名前!」

和奏「別に、名前は何でもいいよ」

紗羽「でもこれ、練習だから良いけど……本番だと手拍子なんて聞こえないよね」

和奏・来夏「あっ」

来夏「……和奏!」

和奏「な、なに? 急に大声出して」

来夏「この作戦は廃止! 地道に練習するよ!」

和奏「う、うん」

紗羽「頑張ってね~」



 ――――――――


紗羽「で、ランナーはこの線からこの線の間までは走っていいの」

ウィーン「オリンピックとかと同じルールなんだね」




19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:21:14.55ID:U2D5HVeP0
紗羽「うん。ただ、ゴールはバトンがラインを割った人が勝ちなんだって」

ウィーン「胸が先に出た人じゃないんだ。そこは違うんだね」

紗羽「なんか、昔色々あったみたいだよ。格差社会で不平等だとかなんとか……」

ウィーン「?」

来夏「あれ、何で紗羽ががリレーのルール教えてんの?」

和奏「田中は?」

紗羽「置いてきた」

来夏「置いてきた?」

紗羽「それがさー……」


 ~~~~ちょっと前のこと


田中「お前、騎馬戦やったことは?」

紗羽「ないよ」




20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:25:01.62ID:U2D5HVeP0
田中「俺は一応1年のころにやったことあるんだけど、コツがあんだ」

紗羽「へー、なに?」

田中「まずは取っ組み合いにならないこと。よく漫画とかドラマで見ないか?」

紗羽「ああ。確かに」

田中「ああいうことやるとな、動きが止まって別の奴にすぐ鉢巻取られちまうんだよ」

紗羽「ふーん」

田中「だから、まずは動きを止めずに全体を見渡すこと。
    で、俺は正面を見るから、沖田は出来るだけ俺の死角を見る感じで頼む。
    後ろの二人も一応見てるけど、一番視点高いのはお前だからさ」

紗羽「わかった」

田中「後は、正面から取りに行かずに横や後ろから攻めるってことか。
    とにかく、そのつもりだ俺たち馬役も動くから、頼むな」

紗羽「うん」

田中「よし、じゃとりあえず練習で組んでみるか」

紗羽「はーい」




22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:28:33.81ID:U2D5HVeP0
 …………

田中「おし、じゃこの俺たちが手を組んでる所に足を、手の位置は前でも後ろでも。
    あぶねーから、頭じゃなくて肩を持ってくれ」

紗羽「りょーかい。よっと」 グッ

田中「うぉっ、と」 グラッ

紗羽「? どしたの?」

田中「いや、やっぱ運動してる奴は筋肉あるなって思ってさ」

紗羽「は?」

田中「身長も高いからだろうけど、思ったよりあるんだな」

紗羽「……」

田中「……ん? どうした、沖田?」

ゴスッ!

田中「あだっ!? なんだよいきな……
    って、どこ行くんだよ沖田! おい!? 練習はどーすんだ!?」

紗羽「勝手にしてれば」

田中「え?」




23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:32:44.19ID:U2D5HVeP0
 ~~~~~~~

紗羽「というわけ」

来夏「学習能力ないなー、田中も」

和奏「で、一人あぶれちゃってる、ウィーンの所に?」

紗羽「そういうこと」

ウィーン「ありがとう、紗羽。僕、頑張るよ」

紗羽「うん。リレーの配点は結構大きいからね。頑張ってもらわないと!」

ウィーン「任せてよ!」

来夏「あたし達も負けてられないね、和奏!」

和奏「うん!」

田中「あ、沖田こんなところに居たのかよ。いいのか、練習は」

紗羽「一回乗っただけでもう大体感覚わかったし、騎馬戦の練習はいいよ」

来夏「一人で走ってれば? 1500mの練習として」

田中「えっ」




24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:36:36.04ID:U2D5HVeP0
ウィーン「大智、せっかくだしバトンパスの練習に付き合ってくれないかな?」

田中「お、おう。いいぜ。やっぱ練習はやってこそ意味あるからな!」

紗羽「あてつけ?」

田中「ちげーよ。別に間違ったこと言ってねーだろ」

来夏「よっしゃ、和奏! 二人三脚の練習続けよっか!」

和奏「そうだね」

田中「で、ここですぐさま持ち替えて、後はダッシュ。とにかく、焦らないでやることな」

ウィーン「焦らないで……うん、わかったよ」

紗羽「わたしも、クラウチングスタートの練習ぐらいはしとこっかな」

和奏「いちにー、いちにー!」

来夏「いちにー、いちにー! おおし、いい感じいい感じ!」



――――――

――――

――




25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:40:59.44ID:U2D5HVeP0
――――体育祭当日


《それでは、1500mに出場する選手は、スタートラインまで出てきてください》

田中「……」 グッグッ

来夏「長きにわたる苦難を乗り越え! 今こそタイーチは立ち上がる!」

ウィーン「振りかざせ、君の刃!」

来夏「すー」

ウィー「ふー」

来夏・ウィーン「「みんなのー希望がつーまあったー、このーつるーぎー!!」」

来夏・ウィーン「エターナルホーリィブレーイドー!」

ウィーン「勇気と!」

来夏「涙を!」

ウィーン・来夏「「力にかーえてー!」」

田中(すっげー注意したい……)




26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:43:55.00ID:U2D5HVeP0
《位置について、よーい》

パァン!

来夏・ウィーン「「今、巨大なてーきにーたぁちー向かうのさー!」」

来夏「はい!」

紗羽「フォーエバー♪」

ウィーン「フォーエバァー!」

来夏「フォーエバァー!」

和奏(みんな恥ずかしくないのかな……)


田中(先頭集団はまだペースアップしてない。
    下位集団にならないように、気をつけて走らねーとな) 

タッタッタッタッタッ



来夏「二番行くよ!」

ウィーン「おうっ!」




27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:46:52.06ID:U2D5HVeP0
来夏「君がーちーかぁったー、しょうりーのーやくそくー!」

ウィーン「ミラークル、フォース、ヴィクトリーィイ!」

来夏「希望と!」

ウィーン「愛を!」

来夏・ウィーン「その身にやーどしー! 今! 巨大な敵をー、うーちー砕くのさー!」

紗羽「ディステニー♪」

来夏「ディステニィー!」

ウィーン「ディステニィー!」

和奏(二番もあるんだ……)

田中(これで1000m通過。どこだ、どこで仕掛けてくるんだ?) タッタッタッタッ!

ダダダダッ!

田中(今!? まだ500mあんのに……一気に離して最後はゆっくりいくパターンかよ!)

田中(ちっ、でもここで置いてかれたら配分もくそもねーな)

田中(うぉおおおおお!!!) 

ダダダダダ!!!




28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:50:32.54ID:U2D5HVeP0
 ――――――――

《1500m結果です。1位、3年3組……2位、3年4組……3位、3年1組……》

来夏「んー3位かー。頑張った方だね」

紗羽「初手でこの点数なら良い方だよ」

来夏「うん」

和奏「あ、帰ってきたよ」

田中「ハァ……ハァ……」

ウィーン「お疲れ様、大智。はい、タオルと飲み物」

田中「おー……サンキュー」

来夏「陸上部に負けたのはいいけど、野球部に負けるなんてねー」

田中「比べんなよ……」

紗羽「よし、じゃそろそろ200mの待機時間だから、行ってくるね!」

来夏「ファイトー!」

和奏「頑張ってね!」

紗羽「任せなさい!」




29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:53:27.12ID:U2D5HVeP0
 ――――――――

《200mの選手の方は、スタートラインまで出てきてください》

来夏「……よし、ウィーン! もう一回行くよ! 短いから、一番だけで」

ウィーン「おっけー!」

来夏・ウィーン「みんなのー希望がつーまあったー!」

田中「……坂井、止めないのか?」

来夏「フォーエバー!」

和奏「フォーエバー♪」

ウィーン「フォーエバー!」

田中「……」

和奏「ん? 何か言った、田中」

田中「いや……」

《位置について、よーい》

パァン!




30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:56:42.68ID:U2D5HVeP0
 ―――――


<がんばれー!

<ファイトー!!

<うわぁあああ!! 転んだぁあああ!!

<ナイスファイトー!

<パチパチパチパチ

<よぉっしゃああああ!!

<2組やべーなおい……

<ちょwwwあいつ速すぎだろwwww

<おい、今あっちで走り高跳びやってるんだってさ

<おおー! あいつ165cmのバー飛び越えたぞ!




31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:59:39.32ID:U2D5HVeP0
<バスケ部ー! 玉投げでダンクは禁止だぞー!

<っておい! ブロックも禁止!

<いけいけー!!

<いけるいけるいける!!

<あああああああああ!!!

<キャーーーー!!!

<いやったぁああああ!!!



――――


――







32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:02:29.13ID:U2D5HVeP0
―――――昼食


来夏「午前の部を終えて、うちは4位かぁ」

紗羽「音楽科も合わせて10クラスだし、悪くはないけど……」

和奏「音楽科は女子多いし、あんまり順位には関係してないけどね」

来夏「男子が何回も同じレースで走ってるの見ると、さすがに可愛そうに思えてくるよね」

和奏「1年生はそうかもだけど、3年生ならもう慣れっこじゃないかな」

紗羽「一レースの間に、もう一度全力疾走でしょ? 無理無理」

来夏「陸上部を抜き去って、200m堂々の1位のくせに。言うことは謙虚なんだね」

紗羽「体力的に無理って話」

来夏「男子の100mでも1位だったらなー……」

和奏「またそれ?」

来夏「わかってはいたけどさ、サッカー部と陸上部と野球部のエース揃いだったんだし。
    でも、そこでビリだったのがやっぱりさー。女子は3位なのに、男子がねー……」




33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:05:29.29ID:U2D5HVeP0
紗羽「終わったことをぐちぐち言ってても、仕方ないでしょ。
    来夏だって、二人三脚、もうちょっと頑張ってくれればよかったんじゃないの?」

和奏「まさかクラス中で手拍子してくれるとは思わなかった」

来夏「あたしのP.A.C.S作戦うまくいくかと思ったんだけどなー……」

和奏「別のクラスもリズムに乗っちゃったから、結局意味なかったもんね」

来夏「優劣がついたのは、皮肉にも足の速さなんて……くーやーしーいー!」

和奏「午後は、紗羽が騎馬戦に出るだけ?」

紗羽「うん。頑張るね」

来夏「目指せ一番!」

紗羽「言われなくても、わかってるよ」




34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:08:31.20ID:U2D5HVeP0
ウィーン「ねえ、大智。騎馬戦の、縦割りグループ分けってどういう意味?」 モグモグ

田中「ああ。今までのレースとかは、普通に学年別でやってただろ?」 モグモグ

ウィーン「うん」

田中「騎馬戦はそれだと、人数がちょっと寂しいからな。
    チーム分けが、学年じゃなくてクラスの数字になってるんだ」

ウィーン「つまり、どういうこと?」

田中「1年1組、2年1組、3年1組で一つのチーム。
   同じように、1年2組、2年2組、3年2組で同じチームってわけだ」

ウィーン「音楽科は? 一緒にやるの?」

田中「もちろん」

ウィーン「一クラス騎馬が一つなのは、そういうことだったんだ」

田中「単に、プログラムの時間調整ってこともあるらしいけどな。一気にまとめてやんのは」

ウィーン「そっか。応援してるからね」

田中「おう」




35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:12:12.44ID:U2D5HVeP0
 ――――――――


《騎馬戦に出場の選手は、指定の場所で準備をしてください》

来夏「ね、今度は何歌う?」

和奏「普通に応援でいいんじゃ?」

ウィーン「来夏、一緒に『情熱になって』を歌おうか」

来夏「お、いいねー。じゃあサビのとこから行くよー」

来夏・ウィーン「じょーおーねつにーなあってー! じーだいーをきーざーんでー!」

和奏「こ、来夏! それはちょっとまずいよ」

来夏「え? どうして?」

和奏「その歌、発売は明日だから」

来夏「?」

ウィーン「あーい言葉は、ベーストフレーン♪」




36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:16:26.64ID:U2D5HVeP0
田中「全然練習してねーけど、大丈夫か?」

紗羽「大丈夫。イメトレもしてたし」 グッ

《それでは、ケガのないように頑張ってくださーい。よーい……》

パァン!

「田中、右後ろから来るぞ!」

田中「いったん前進だ。距離を取ってから旋回する!」

「左からくるぞ、気をつけろ!」

「おりゃっ!」 バッ!

紗羽「おっと!」 ヒョイッ

紗羽「もーらい!」 グイッ!

「あっ!?」 シュルリ

田中「おー、やるな」

紗羽「とーぜん! 前から来てるよ、田中!」

「左に動いて回避だ!」

田中「よっしゃ!」




37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:19:39.48ID:U2D5HVeP0
「! 沖田! 後ろ!」

紗羽「え? うわっ!?」 バッ

田中(!?) ポイン!

大谷「あれ、絶対いけると思ったのにー……」

紗羽「後ろから不意打ちなんて、卑怯!」

大谷「そういう勝負でしょ、先輩♪」

シュルリ

大谷「あれ、私の鉢巻……」

上野「そういう勝負だもんね、大谷さん♪」

大谷「あ、先輩ずるーい!」

上野「ふふ。危なかったね、沖田さん」

紗羽「ありがとう、上野さん! 同じ1組同士、頑張ろうね!」

上野「うん!」




38:大谷=ストレピ子:2012/11/13(火) 20:23:57.38ID:U2D5HVeP0
田中「沖田、いったん距離置くぞ! 横から来てる!」

紗羽「わかった!」


<ワーワー!!

<キャーキャー


――――


「もらい!」 バッ!

紗羽「あっ!」 シュルリ

「あーあ。取られちまったか……」

田中「悪い、もうちょっと近づければよかったな」

紗羽「結構鉢巻手に入れたし、大丈夫だと思うよ」

田中「とりあえず、降ろすぞ。いつまでもこのままじゃ、あぶねーし」

紗羽「わかった」




39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:26:27.36ID:U2D5HVeP0
<おっしゃああああ!!

<うわぁああああああ!!!


ピピー!

《終了でーす! 最後の接戦を制したのは、2年4組の……》


田中「……」 スリスリ

紗羽「? どしたの田中、首元気にして?」

田中「い、いや。別に」

紗羽「もしかして、なにかぶつかった?」

田中「!!」

紗羽「爪とか。ちゃんと切ってるんだけどね」

田中「……いいから、戻ろうぜ。結果報告にもいかねーと」

紗羽「うん」

田中(あたってた……なんて言えねーよな)




40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:29:36.10ID:U2D5HVeP0
 ――――――――

来夏「いい、ウィーン。ここがあたし達の桶狭間だよ」

ウィーン「桶狭間?」

来夏「昔ね、桶と桶の間に水を入れて戦うことで、自分たちの大事な領地を奪い合ってたことがあるの。
    それにちなんで、桶狭間。転じて、勝負の分かれ目って意味なんだよ」

田中「嘘しかない説明だな……」

ウィーン「つまり、このリレーで勝てばいいってことだよね!」

紗羽「第一走者がどれだけ差をつけられるかが大事だから、負けないでよ」

田中「わかってるって」

来夏「よーし、行って来ーい!」



《男子400mリレー、第一走者の選手は、スタートラインまで……》

田中(やっぱ他のクラスも考えることは一緒か。アンカーより第3走者に速いのを持って来てやがる)

田中(陸上競技場ならそれでいいけど、普通のグラウンドでそこまでするかよ)




42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:33:21.32ID:U2D5HVeP0
田中(……俺も遅い方じゃねーけど、案の定3組は短距離選手で固めてやがるし……)

田中(とにかく、置いてかれねーようにするしかねえな)


《位置について、よーい……》

パァン!


来夏「いけー! 田中ー!」

紗羽「がんばれー!」

和奏「ファイト―!」

来夏「ああ! もうおいてかれた! 田中のバカ―!」

紗羽「本職には勝てないよ、やっぱ」

来夏「もー! いけいけー!」

紗羽「うーわ! 3組速ッ!」

来夏「だってあいつ、去年全国行った奴じゃん! 反則だよ反則!」




43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:36:54.80ID:U2D5HVeP0
和奏「がんばれー!」

紗羽「あー……これは厳しい……」

来夏「まだまだ! 1位は無理でも、2位になら!」

和奏「ウィーン、頑張れー!」

来夏「あんたが、あたしたちの最後の希望だよー!」

紗羽「あ、手振ってる」

来夏「コラー! 集中しなさーい!」



田中「ウィーン、よく走者を見とけよ!」

ウィーン「任せて!」

田中「……よし、今だ! 走れ!」

ウィーン「了解!」 ダッ

「前田、頼んだ!!」 ダダダダ

ウィーン「うん!」 パシッ




44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:39:41.32ID:U2D5HVeP0
来夏「いっけー!!」


ダダダダダダ!!

田中(陸上部じゃなくても、やっぱこんだけ差があればきついな……)

ウィーン(でも、諦めない! このままキープして……)

「へへっ、わりいな!」 ダダダダ!!

ウィーン(ダメだ! 抜かれる!)

ウィーン(ゴールはもうすぐなのに……このままじゃ……)

ウィーン(どうすれば……)

ウィーン(………………そうだ!)


紗羽『ゴールはバトンがラインを割った人が勝ちなんだって』


ウィーン「これだぁああああ!!!」




45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:43:54.70ID:U2D5HVeP0
ザッ

ウィーン「いっけぇええええ!!」

ブンッ!

ヒューーン!!


来夏・和奏・紗羽・田中「「「「あっ」」」」

「え?」

ウィーン「やった! 先にゴールしたよ!」







《ただいまのレース結果です。1位、3年3組……2位、3年5組……3位、3年2組…………》


《なお、3年1組はバトン投擲による反則のため、最下位になります》




46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:47:01.79ID:U2D5HVeP0
ウィーン「ごめん、みんな……」

田中「良いって。ちゃんとルール教えなかった俺たちが悪いんだし」

来夏「あんたがちゃんと言わないのがダメなんでしょ」

田中「俺のせいかよ」

和奏「いくら何でも、バトンを投げたらゴールにはならないよ」

ウィーン「うん……」

紗羽「くよくよしてても仕方ないよ。ほら、最後に女子のリレーあるんだから」

来夏「よっしゃ! ウィーン、あたしたちの歌声で応援だ!」

ウィーン「うん、わかった!」



《それでは、体育祭最後の種目になります……》




47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:49:35.51ID:U2D5HVeP0
―――――体育祭終了後の教室


「あー疲れた」

「結局3位で終わっちまったなー」

「ま、入賞できたしいい方だろ。おいこら、賞状そんな場所に置くな!」

「誰かスプレー貸してくんない?」

「着替えめんどくせーし、俺はこのまま部活行くわ」

「うぉわ!? てめー! スプレーを服の中にやるな!!」


田中「……どうだった、ウィーン」

ウィーン「何が?」

田中「体育祭。楽しかったか?」

ウィーン「うん。もちろん。部活とはまた違うね」

田中「そっか」

「着替え終わったぞー」

「はいはーい」




48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:52:01.11ID:U2D5HVeP0
ガラッ

来夏「お、田中とウィーン。お揃いだね」

田中「なんだよ」

和奏「二人ともこの後、時間ある?」

田中「ああ。なんだ、打ち上げでもすんのか?」

来夏「まさか! どんだけ浮かれてんの、あんたは!」

田中「えっ」

紗羽「わたし達の本命は白祭でしょ? だから、練習しようって、来夏が」

和奏「ウィーンも大丈夫?」

ウィーン「もちろん!」

来夏「高校生活最後の、あたし達にとっての大舞台! 絶対成功させなきゃ!」

田中「ったく、切り替え早いっつーか……」

和奏「でも、そうだよね」

紗羽「うん。準備することもたくさんあるし!」




49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:53:57.50ID:U2D5HVeP0
来夏「よーし、じゃあさっそく練習行くぞー!!」



来夏「奮起!」

ウィーン「いっぱーーつ!!」






おしまい




51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 21:02:40.30ID:vIBjPIlg0





14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 19:07:26.05ID:qu94JtxpO
この前ウィ奏書いてた方?




50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/13(火) 20:55:30.67ID:U2D5HVeP0
以上です。
さるさん、くらわないかドキドキでした。案外大丈夫なんですね。

>>14
一週間ほど前でしたら、多分そうです。




転載元
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1352799535/




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