7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 18:45:51.48ID:XynyBQgG0
来夏「うん!」

田中「合宿? なんの?」

来夏「合宿ったら合宿だよ。合唱部の!」

和奏「この時期に? 夏休みはもう終わったよ」

来夏「いいの! 別に一週間どこかで、とかじゃなくて。今度の休みに一泊二日でいいから、やろうよ」

紗羽「単に遊びたいだけじゃ……」

ウィーン「来夏!」 ガタッ

来夏「へ?」

ウィーン「合宿って言ったら、アレだよね。泥まみれになって、鬼コーチやライバルと鎬を削るあの!」

来夏「え? えっと……」

和奏「なんか、古臭い」

田中「この前買ってやった本はまともだったはずだけど……」







8:パンツは履いてね:2012/10/12(金) 18:48:45.92ID:XynyBQgG0
ウィーン「そう。パワーアップするには欠かせない、必要不可欠なイベント! それが合宿!
      流石が来夏だ、よくわかっているね!」

来夏「……う、うん。そう。そうなの! このままじゃ、ただのお気楽部活で終わっちゃうでしょ!
   だから、そろそろ活を入れようと思ってさ!」

ウィーン「うん! 来夏、さっそく準備を始めよう!」

来夏「おうともさ!」

和奏「……なんか、似た者同士というか」

紗羽「扱いやすいけど扱いにくいのが増えたって感じ」

田中「……で、実際どこで何をするんだ?」

来夏「それはねー……それを、みんなで考えようかと」

紗羽「結局そうなるんだね」

来夏「和奏ー、どうしたらいいー?」

和奏「え? 私?」

来夏「だって、音楽科だったから、詳しいかなーって」

和奏「それは関係ないよ。部活のことなら、来夏の方が知ってるんじゃないの?」




9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 18:51:10.12ID:XynyBQgG0
紗羽「ああ。来夏ね、一年の時は法事で、二年の時は風邪ひいちゃって、声楽部の合宿参加したことないんだ」

来夏「ちょっ、勝手に言わないでよぉ!」

和奏「ああ、そうなんだ……」

ウィーン「ところで大智、行くならやっぱり海かな。山かな」

田中「え? あー、海は見慣れてるし、山のが良んじゃね?」

ウィーン「山……ということは、サバイバルとか!?」

田中「いや、それは無理だろ」

来夏「……よし、今決めた!」

和奏「早っ」

来夏「悩んでても仕方ないもん。こういうのは、ササーッと決めて、パパーッとやるの!」

紗羽「勢いだけは良いんだけどね……」

来夏「紗羽の家で、一日修行をする!」

紗羽「は?」




12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 18:53:49.34ID:XynyBQgG0
ウィーン「ねえ大智、もし山ならどこがいいかな?」

田中「どこって……俺もそんなに詳しくないし」

来夏「そうすれば、みんなだってあがり症直るんじゃない!?」

紗羽「あがり症なのは来夏だけでしょ……」

来夏「そうでなくとも、いい勉強にはなるんじゃないかと思」

紗羽「和奏、あまり緊張しない人?」

来夏「聞けよ!」

和奏「うん。しない、というか慣れたというか。
   一応、緊張はしてるんだけどコントロール出来てるから、そこまで」

来夏「良いなー。あたし、スイッチ入らないとどうしようもなくってさー」

紗羽「入れば、良いんだけどね。入るまでが長いったら」

ウィーン「そっか……」

田中「どうしたんだ?」

ウィーン「うん。山なら、少し遠くだけど別荘があるから、そこに泊まるのもいいかと思って」

田中「へー。すげーな、お前んち」

来夏「ウィーン!」




13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 18:56:17.50ID:XynyBQgG0
ウィーン「ん? なに?」

来夏「もう一回言って」

ウィーン「え? 山なら、少し遠くだけど別荘があるから……」

来夏「みんな! 合宿先、決まったよ!」

紗羽「いえー!」

和奏「宿泊費浮いたね!」

ウィーン「?」

田中(とんでもなく強引だな……)



 ――――――――当日

来夏「みんな揃ったー?」

和奏「ウィーンがまだ」

田中「別荘の鍵借りてから来るってさ」




15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 18:59:28.34ID:XynyBQgG0
紗羽「なんか、ワクワクしてきた。あ、でも来夏。ちゃんと練習はすること。いい?」

来夏「うん! もちろん!」

和奏「山だから、やっぱり山菜が豊富なのかな」

紗羽「わたし、キノコだけはダメなんだよね」

和奏「そうなの? おいしいのに」

紗羽「だって、なんか苦くない? 筋張ってるし」

和奏「うーん。嫌いな人に、好きなところ言っても意味ないよね」

紗羽「あ、たしかに」

田中(こいつら、絶対旅行気分だろ……)

来夏「あ、ウィーン来たよ!」

ウィーン「ごめん、お待たせ。それじゃあ、行こうか!」

来夏・紗羽・和奏・ウィーン「「「おーっ!」」」 田中「おー……」




16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:02:52.64ID:XynyBQgG0
 ――――――――

来夏「……電車移動して……そこから……バスで行って……」 ゼーゼー

和奏「……少し……歩いたところに……あるんだよね……」 ハーハー

ウィーン「うん。そうだよ」

紗羽「バスまでは良かったんだけど……」

田中「どんだけ山道歩くんだ? 一時間くらい歩いてるけど」

ウィーン「あと2、3キロだから。頑張って、みんな!」

来夏「まだそんなにあるのー!? もう歩きたくないよー」

紗羽「合宿しようって言ったの、誰だっけ? ん?」

来夏「うぅ……すみません……」

和奏「でも、足腰鍛えるにはいいかもね」

紗羽「合唱で足腰って必要なの?」

和奏「ないことはないけど……。どちらかと言えば、技術や気持ちが大事というか」

田中「つまり、なくても大丈夫なんだな」




18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:05:55.12ID:XynyBQgG0
来夏「……あー、もう。疲れた! 歩きたくないー! 荷物重たいー」

紗羽「言いだしっぺが真っ先に投げ出したよ」

田中「車使えればよかったのにな」

来夏「誰もこんな大人数が乗れる車、持ってないんだから仕方ないじゃん!」

和奏「紗羽たちは、結構余裕そうだね」

紗羽「ウィーンは知ってる場所だし、わたしは弓道とか馬で鍛えてるし。田中は、見ての通りバドミ脳だし」

田中「バドミ脳?」

来夏「! そうだ。ウィーン、ちょっと来て」

ウィーン「ん?」

来夏「はい、お願い」 ポスッ

ウィーン「え? これ、来夏の荷物だよね……? どうして?」

来夏「見たことない? こうやって、荷物を多く運ぶことで鍛えられる漫画とか」

ウィーン「あ。あるよ! それをやっても良いんだね!」

来夏「うむ! 頑張りたまえ!」

ウィーン「わかった。頑張る!」




19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:09:13.21ID:XynyBQgG0
紗羽「ナチュラルに荷物押し付けたし」

和奏「ああいう機転の利き方は凄いと思う」

田中「なんなら、お前らのも持ってやろうか?」

紗羽「え?」

田中「女子はキツイだろ。こんな長道、重い荷物持って歩くの」

和奏「いいの?」

田中「気にすんなって。筋肉ついて体重増えたら困るだろうしな」

紗羽「さいてー」

和奏「無神経」

田中「え?」

紗羽「じゃ、お願いね」 ポイッ

和奏「よろしく」 ポイッ

田中(……俺、なんか悪いこと言ったのか……?) ボスボスッ




21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:12:49.86ID:XynyBQgG0
田中「というか、めちゃくちゃ重てぇし……何入ってんだ?」

紗羽「中見たら殴るよ」

田中「頼んだって見ねえよ」

紗羽「ほほー。言ったね。じゃ、ちゃっちゃとついてきなさい」

和奏「急いでね」

田中「え……」

来夏「ほらほらー、みんな早くしてよー? ウィーン先行っちゃうじゃん!」

紗羽「和奏、行こっ!」 タッ

和奏「うん!」 タッ

田中「ちょっ! ……くそっ! これぐらい!!」 ダッ!


 ――――――――到着

ウィーン「一応、電気とガスは使えるみたいだよ」

来夏「りょーかい! 流石はウィーンだ! パーフェクトワーク! 略してパックス!」

和奏「なにそれ」

田中「それだとパークスじゃね?」




22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:16:23.73ID:XynyBQgG0
紗羽「それにしても、こんな山中に、ぽつんと一軒家があるなんて……」

和奏「見た目も汚くないしね」

ウィーン「たまにお爺さんが友達に貸してたみたいだから」

紗羽「よし。じゃあ、荷物を置こっか」

来夏「あたしのベッドここねー!」 ボスッ

紗羽「また勝手に決めて……。というか、ベッドって三つだけ?」

ウィーン「三人家族だから」

和奏「あ、でもここしか別荘はないんだよね?」

ウィーン「うん。そうだよ」

和奏「……うーん。どうしよっか」

田中「ウィーン、ロフトって使えるか?」

ウィーン「んー。ちょっと埃っぽいけど、少し掃除すれば大丈夫だと思うよ」

田中「俺たち、そっちで寝るから。お前たちはベッド使えよ」




24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:18:38.49ID:XynyBQgG0
来夏「……」 

紗羽「……」

和奏「……」

来夏・紗羽・和奏「「「カッコイー!」」」

田中「なっ……」

ウィーン「女性に優しく、自らを犠牲にする……大智、これが武士道ってやつだね!?」

田中「……この前一緒に買った本、ちゃんと読んでるか?」

来夏「寝床の確保も出来たわけだし、さっそく練習しますか!」

紗羽「どうやって?」

来夏「ここで」

和奏「ここで?」

来夏「うん。だって、人も居ないし。ここなら歌っても問題ないでしょ?」

田中「で、何やるんだ? やっぱ基礎トレか?」




25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:21:33.79ID:XynyBQgG0
来夏「バドミ脳はこれだから……」

田中「略すな」

紗羽「否定はしないんだ」

和奏「基礎が必要ないとまで言わないけど、みんな声の出し方とか、問題ないと思うよ」

来夏「おー。音楽科からの太鼓判いただきましたー!」

紗羽「じゃあ、何する?」

来夏「歌いましょう。あたし達は!」

田中「何を?」

来夏「うん。いくつか持ってきたんだー。でも、特に練習したいな、ってのはコレ!」

ウィーン「あ、潮風のハーモニーだ」

和奏「ウィーン、知ってるんだ」

田中「俺も知ってるぞ。よく練習で歌うからな」

紗羽「聞くのももちろんだけど、歌っても元気出るよねー」

来夏「うん。そこで、せっかく和奏も合唱部として活動することになったわけだし!
    みんなで合わせられたら良いな、って」




26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:25:10.77ID:XynyBQgG0
田中「白祭で歌うためか?」

来夏「んー。まだ考えてないけど、5人でちゃんと歌えるストック、作っておきたいじゃん」

和奏「わかった。じゃあ、しっかり覚えるね」

来夏「その意気だよ和奏! それじゃ、まずはあたし達でお手本見せるから」

和奏「うん。お願い」

来夏「よし。いち、に、さん、はい」


~~~♪



 ――――――――

来夏「あー。歌った歌ったー」

紗羽「やっぱり和奏の声って良いね。声の出し方が本当に上手」

和奏「そ、そうかな」




28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:28:25.23ID:XynyBQgG0
田中「……にしても、腹減ったな」

来夏「よっしゃ、じゃあ晩御飯にしましょう!」

紗羽「冷蔵庫に入れてた食材出そっか」

田中「俺たちは、何したらいい?」

紗羽「田中、料理は?」

田中「そんなに」

来夏「お姉さんと二人で暮らしてるのに、料理もできないのかあんたは!」

田中「二人とも忙しいんだから、仕方ねーだろ」

和奏「じゃ、田中くんは、お風呂の準備お願いしてもいいかな。ウィーンも一緒にお願い」

ウィーン「うん。備え付けのものと、少し離れに露天風呂があるけど。どっちがいい?」

来夏「露天風呂!」

ウィーン「わかった。じゃあ、行こうか大智」

田中「おう。あ、坂井」

和奏「ん?」




29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:31:15.95ID:XynyBQgG0
田中「別にもう、君付けして呼ばなくてもいいぜ。俺たち、一緒にやってく仲間だろ」

和奏「あ……うん」

来夏「かっこつけてないで、さっさと動く!」

田中「はいはい」

 ――――――――

来夏「あ。おかえりー。もう出来てるよー」

田中「おー。なんかすっげえ豪華だな」

紗羽「こーんなキャワイイ女の子達の手料理食べられるんだから、二人は幸せものだねー」

ウィーン「凄い……。ありがとう、みんな」

和奏「それじゃ、冷めないうちに食べよっか」

 「「「「「いただきまーす」」」」」

紗羽「……あ、来夏!」

来夏「ん?」




30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:33:31.23ID:XynyBQgG0
紗羽「お味噌汁にキノコ入ってる!」

来夏「へ? ああ、ごめんごめん。よけ忘れちゃったみたい」

紗羽「もー。責任とって食べてね、はい」

来夏「えー。それぐらい食べなよー。ちょっとじゃん」

田中「好き嫌いしてたら、大きくなれねーぞ」

来夏「そうそう。田中良いこと言った!」

紗羽「来夏に言われてもねー、和奏」

和奏「ん? ……んー。んふふ」 モグモグ

ウィーン「みんなで食べるのって、楽しいね」

田中「楽しいっつーより、姦しいっつー感じだけどな」

ウィーン「かしましい……? それ、どういう意味?」

来夏「昔ね、カシマって人が三人の女の人を集めて、食事会を開いたことが由来でね~~」

田中「ウソ教えんなよ……」




32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:36:15.63ID:XynyBQgG0
ウィーン「ありがとう、来夏。
      やっぱり、こうやって大人数で食べるのは、賑やかでいいよね」

紗羽「うちはいっつも正座して、黙々と食べるからなぁ」

来夏「さすがはお寺の子!」

和奏「うちもお父さんと二人だし……」

田中「ま、たまには、悪くねーかもな」

来夏「よっしゃ。それじゃあ、さっさと食べてお風呂行こーっと!」

田中「どっから、それじゃあが出てきたんだよ」


 ――――――――


来夏「はー、気持ち良かったー」

ウィーン「あ、おかえり」




34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:39:15.95ID:XynyBQgG0
紗羽「あれ。二人とも、もうお風呂入っちゃったの?」

田中「お前たちが長いんだよ。先にこっちの使わせてもらった」

来夏「うわー、もったいな! 景色も湯加減も完璧だったのにー」

田中「別に、どこでも一緒だろ。……さて、筋トレすっかな」

和奏「お風呂上がりにするの?」

田中「日課だからな。身体があったまってるうちにやるのが一番いいんだ。
   普段はランニングした後にやるんだけど、今日は仕方ないからこれで」

紗羽「ふーん。手伝ってあげよっか?」

田中「手伝うって? 腕立てだぞ?」

紗羽「んー……あ、上に乗るとか」

田中「ケガするぞ」

来夏「あら、紳士的」

田中「いや、俺が」

紗羽「……」

田中「ちょっ……無言で腕をひね……いたたた!」




35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:42:43.11ID:XynyBQgG0
和奏「あ、ねえウィーン」

ウィーン「ん?」

和奏「お風呂の近くに、別の道あるよね?」

ウィーン「うん。それが?」

和奏「あれ、どこに繋がってるの?」

ウィーン「確か、小さな神社があるはずだよ」

来夏「へー。そうなんだ」

紗羽「何かたくらんでる?」

来夏「ふっふーん。ご名答!」

来夏「肝試しにでも行きましょう!」

和奏「肝試し?」

来夏「そう。そういえばあたし達、夏休みに夏休みらしいことしてないし!
    ここで、一発何かやっておこうかと」




38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:45:44.82ID:XynyBQgG0
田中「おい、今は合宿……」

来夏「何か言った?」

紗羽「空気読んで」

田中「……はい」

和奏「帰ってきたら、ちゃんと練習しようね」

紗羽「うん、もちろん」

田中(扱いの差が……)

来夏「じゃあ、まずは田中が行ってくること!」

田中「はぁ? 俺だけ?」

和奏「いくらなんでも一人は……」

紗羽「じゃ、和奏も行く?」

和奏「えっ? それは……」

来夏「……うん。わかった。じゃあ、じゃんけんで決めよう。公平に!」

田中「既に不公平だろ……」




39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:48:39.05ID:XynyBQgG0
来夏「いくよー。じゃーんけん、ポン!」

和奏「あ」

紗羽「来夏の一人負けだ」

来夏「なんですとぉおおお!?」

紗羽「頑張っておいでー♪」

来夏「……紗羽も来てよ!」

紗羽「え?」

来夏「この前、数学の宿題写さしてあげたよね?」

紗羽「あー……」

来夏「来週の英語のプリントの答えも、中間テストの勉強も、全部あたしが」

紗羽「わかったわかった。ついてくから」

来夏「素直でよろしい」




42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:51:09.86ID:XynyBQgG0
紗羽「はぁ……。ウィーン、懐中電灯とかはある?」

ウィーン「うん。持ってくるね」

和奏「私とウィーンは、どうしてたらいい?」

来夏「お留守番で!」

和奏「わかった」

紗羽「やっぱり、ちょっと怖かったの? 肝試し」

和奏「好きではないかな」

ウィーン「はい、紗羽。気を付けてね。あんまり遠くはないから」

紗羽「ありがと。じゃ、行こっか。来夏、田中」

田中「もうお前たちで行けばいいだろ……」

来夏「はい、田中は先頭」

田中「おい、押すな」

紗羽「よろしくねー」




43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:54:36.25ID:XynyBQgG0
 ――――――――残された二人。



和奏「……」 パラリ

ウィーン「……」

和奏「……遅いね、みんな」

ウィーン「そうだね。全部で一時間はかからないと思うんだけど……」

和奏「そっか」

ウィーン「うん」

和奏「……」

ウィーン「……」




45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 19:58:09.01ID:XynyBQgG0
和奏「……」 パラリ

ウィーン「ねえ和奏、その本は?」

和奏「ん? これ?」

ウィーン「うん。教科書じゃないみたいだけど」

和奏「家にあった、作曲の本なんだ」

ウィーン「和奏、曲を作るの?」

和奏「お母さんが書きかけの楽譜を残してくれたから。それを完成させたくて」

ウィーン「へー、凄いね! 流石は和奏だ!」

和奏「さすがってほどじゃ……」




46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:01:10.70ID:XynyBQgG0
和奏「さすがってほどじゃ……」

ウィーン「ううん。そんなこと、僕にはできないもの。だから、凄いと思うよ」

和奏「そう……かな。まだまだ全然なんだけど」

ウィーン「やろうとするのが素晴らしいんだよ」

和奏「……」

ウィーン「……」

和奏「……? どうしたの?」

ウィーン「……ねえ和奏」

和奏「?」

ウィーン「前から思ってたんだけど」

和奏「うん」

ウィーン「和奏って、可愛いよね」

和奏「へっ!?」




48:46の一行目ミスちゃった。ごめんね:2012/10/12(金) 20:05:13.96ID:XynyBQgG0
ウィーン「あれ? 意味違ったかな。あっちではLieblichって言うんだけど……」

和奏「わ、私、ドイツ語わかんないよ」

ウィーン「そっか。ごめん」

和奏「ううん……いいよ」

ウィーン「……」

和奏「……」

和奏「……う、ウィーン!」

ウィーン「ん?」

和奏「さっきの……ことだけど」

ウィーン「Lieblich?」

和奏「じゃなくて、日本語の方」

ウィーン「和奏が可愛いってこと?」

和奏「んっ……。そ、それって……どういう意味……?」

ウィーン「どうって、褒めたんだけど……。やっぱり意味、おかしかったかな?」




49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:08:26.18ID:XynyBQgG0
和奏「……褒め言葉?」

ウィーン「うん」

和奏「……なぁんだ」

和奏「……ウィーン、そういう言葉はあんまり言わない方がいいよ」

ウィーン「え? どうして?」

和奏「……誤解をする人がいるから!」

ウィーン「誤解?」

和奏「そう!」

ウィーン「誤解って、勘違いってことだよね? でも、可愛くない人に言わなければ、良いんじゃないのかな?」

和奏「あー……。女の人に言うのが危ないかな」

ウィーン「男の人には言ってもいいの?」

和奏「そうじゃなくて……。えーっと……」

ウィーン「?」




51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:11:09.37ID:XynyBQgG0
和奏「日本では、そういうこと言うとね。もしかして、好きなのかな? って勘違いしちゃうの」

ウィーン「そうなんだ。でも、僕は和奏のこと、好きだよ」

和奏「ええっ!?」

ウィーン「もちろん、大智も来夏も紗羽もね!」

和奏「……もー……調子狂うなあ」

ウィーン「?」

和奏「ウィーン、英語は?」

ウィーン「問題ないよ」

和奏「さっき言ったのはLoveの話。今、ウィーンが言ってくれたのはLikeだよね?」

ウィーン「多分……」

和奏「多分って」

ウィーン「そういうこと……あまりよく、わからないから」

和奏「……そっか」




52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:14:31.17ID:XynyBQgG0
ウィーン「和奏は、わかるの?」

和奏「うーん。来夏なら、詳しいそうだけど……私はあんまり」

ウィーン「そっか」

和奏「やっぱ、知りたいの?」

ウィーン「そうだね。わからないことだし、知っておきたいとは思ってる」

和奏「知ろうとして、知るものでもないと思うんだけどね」

ウィーン「そうなんだ」

和奏「……でも、私もちゃんとは知らないから。知りたいとは思う」

ウィーン「……例えば、僕と和奏じゃ無理かな?」

和奏「へっ?」

ウィーン「今はまだ全然わからないんだけど……なろうと思えば」

和奏「ええっと。ウィーン、落ち着いて」

ウィーン「僕は落ち着いてるよ」




53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:17:19.28ID:XynyBQgG0
和奏「わかってるけど……その……」

ウィーン「顔、赤いけど大丈夫? 風邪?」

和奏「違う違う。とにかく、私たちってそういう関係じゃないでしょ?」

ウィーン「うん。でも、そういう関係になるにはまず好きになってから、だと思ったけど」

和奏「……だ、だから。もー……そんな簡単に言うことじゃないでしょ」

ウィーン「?」


ドンドンドン


田中「おーい。坂井、ウィーン。開けてくれー」

ウィーン「あ、大智たちだ。帰って来たんだね」

ガチャッ

和奏「どうしたの?」

ウィーン「背中に居るのは来夏で……横に居るのは、紗羽?」




55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:19:29.75ID:paUIelOvO
ウィーンの天然アタックにタジタジの和奏可愛い




56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:19:38.94ID:XynyBQgG0
田中「こいつら、二人して物陰から飛んできたタヌキにビビってさ。
    宮本は気絶するわ、沖田は腰抜かすわで大変だったんだよ……」

和奏「それで時間かかったわけか」

田中「ったく、いい加減起きろよ、宮本。……で、沖田。早く腕から離れてくれ」

紗羽「……死ぬかと思った……」

ウィーン「ねえ、和奏」

和奏「ん?」

ウィーン「この場合は、三角関係っていうのかな?」

和奏「……ただの友達だから」

ウィーン「そっか」


 ――――――――次の日


来夏「一生の不覚」

紗羽「は?」




57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:22:31.50ID:XynyBQgG0
来夏「せっかくの一泊二日の旅行で、早寝しちゃうなんて!
    夜の練習もできなかったし!! あー!!」

田中「旅行って……」

来夏「もー。こうなったら、またやろうねみんな!」

和奏「開口一番にそれ?」

ウィーン「うん。その時は、またここを使おうよ」

来夏「よぉっしゃ。持ち主さんの許可降りたよ!」

田中「やっぱ遊びたいだけじゃねーか……」

来夏「ちゃんと練習もしたでしょー?」

和奏「そうだね。多分、もう何回かやれば私も、大丈夫だと思う」

来夏「うんうん。得る物の多い、良い合宿だったねー」

紗羽「来夏ったら。次は、しっかり計画立ててやるから覚悟してね」

来夏「……はい」




58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:25:14.61ID:XynyBQgG0
 ――――――――帰路


来夏「あー。やっぱ、あたしをおぶってくれたの田中だったんだー。
   紗羽にしちゃ、広い背中だと思った。なんかゴツゴツしてるし」

紗羽「昨日は、わたしも腰抜かしちゃってたし」

田中「大変だったんだぞ。……ホントに」

来夏「はいはい。ありがとね、田中きゅん」

田中「感謝してねーな、お前」

紗羽「それじゃ、ご褒美に荷物持たせてあげるね」

来夏「あ。あたしも!」

田中「また!? って、勝手に! ふざけんな、おい!」 ボスボスッ

ウィーン「楽しそうだね」

和奏「うん」

ウィーン「……ねえ、和奏」

和奏「ん?」

ウィーン「昨日のことだけど」




60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:28:03.59ID:XynyBQgG0
和奏「! う、うん」

ウィーン「寝る前に色々と考えてみたんだけど。
      やっぱり、先に知らないといけないことがあると思って」

和奏「先に?」

ウィーン「うん。まずは、ちゃんと和奏のことを知ろうかと」

和奏「へ?」

ウィーン「何も知らずに、好きになるなんて出来ないよね。だからさ。」

和奏「ま、待っ……な、なんで、私なの?」

ウィーン「……さあ?」

和奏「さあ、って……」

ウィーン「よくわからないけど、そういうものなんじゃ?」

和奏「……しらない」

ウィーン「うん。だから、もっと知っていくよ。よろしくね」

和奏「好きにして」

ウィーン「そうする」

和奏「……」




61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:29:43.32ID:XynyBQgG0
来夏「二人とも早くはやくー! 置いてくよー!」

ウィーン「ほら、行こうよ和奏」 

和奏「……うん」







おしまい




65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:33:08.95ID:MEBF0Vwp0
おつでした




54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:18:18.10ID:l5AQ7lcC0
来夏って頭いいのか?




64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:32:13.72ID:XynyBQgG0
和奏ちゃんが潮風のハーモニーを習得する流れがあればそれで良かったんや。

>>54
アニメ版では、成績優秀者(BD一巻、キャラコメ参照)
漫画版では、アホの子(漫画一巻P.137一コマ目参照)
お好きな方をどうぞ。




66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:33:27.45ID:paUIelOvO
乙。良かったけど、もっとじっくりやってもらってもいいんだぞ?




67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:37:07.24ID:XynyBQgG0
考える余地を残してみる。というのをやってみたかったんですが、ちょっと投げっぱなしジャーマンすぎた気もする。

>>66
もうそろそろ、ハイペースは難しいと思います。
前回の和奏編で結構お腹いっぱいになったので、落ち着くかと。




68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:51:18.39ID:paUIelOvO
>>67
いや貴方の書くペースのことじゃなくてこのSS自体の話の展開のスピードのことが言いたかった




69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/12(金) 20:54:51.92ID:XynyBQgG0
>>68
ああ。なるほど。推敲足りねーぞ、もっとちゃんと考えてやれよ! 的な意味かと。
余分な会話や、自然な会話がTARI TARIの醍醐味だと思うんで、これでも、結構くどいと思うくらいつめこんだつもりでした。
まだまだでしたかね。








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